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ダイニング・キッチン空間のレイアウト~キッチンの種類と配置について

ダイニング・キッチン空間のレイアウト~キッチンの種類と配置について

  

キッチンの選定、オーダー製作にあたり、キッチン単体で考えるのではなく、食器棚(カップボード)やダイニングテーブルの配置や、キッチン・ダイニングスペースの間取りやリビングとの関係性を考えて最適なキッチンを具現化しデザイン・オーダーする事が大切です。

 

 

対面式のアイランドキッチンが素敵!とキッチン単体だけ見て選定してしまうと理想の住空間は実現しません。ではどのように考えてキッチンを選定すればいいのか?お話したいと思います。とは言え、まずはどのようなキッチンの配置があり、またどのようなキッチンの種類があるのかを知っておくべきなのでまずはそこからお話しします。

 

 

▽キッチン関する記事も併せてご覧ください。

WAILEAオーダーキッチン~理想の住生活空間を求めて~

 

【目次】

1:キッチンの配置パターン

対面配置
独立配置
壁付配置

2:キッチンの種類について

I型
L型
コの字型
Ⅱ型
アイランド型
ペニンシュラ型

3:ダイニングキッチンのレイアウトについて

6畳(間口3510)ダイニングキッチンレイアウト
6畳(間口2300)ダイニングキッチンレイアウト
8畳ダイニングキッチンレイアウト
10畳ダイニングキッチンレイアウト

4:ダイニングキッチン空間をスッキリと広く見せるコツ

外形ラインは揃え、変な隙間は作らない
相対的に色合いの濃い物は高さのある物は奥に配置
素材・色相要素は統一する
調理機器の置き場も考えて

5:まとめ

 

 

 

1:キッチンの配置パターン

 

対面配置

リビング・ダイニングに対して対面に配置。いわゆるオープンキッチンタイプ。キッチンカウンターがそのままダイニング側から見えるフルオープンタイプ、また腰壁や垂れ壁がありそこにI型キッチンを対面配置させるセミオープンタイプがあります。メリットはキッチン作業スペースを専用に設けてリビング・ダイニングと分けた上、開放的で空間が繋がり、料理している際、ダイニング・リビング側を向くことになるので、子供や家族とのコミュニケーションが可能です。逆にデメリットとして臭いがリビングまで広がる、上部に吊り戸を設置できない場合があり収納量は不足。(I型キッチンの対面配置であれば、腰壁をつくりますが同時に垂れ壁を設置してそこに吊り戸を設置する事はできます)

開放的でリビングとの連続性・関係性が生まれるので、リビング・ダイニングと素材選定、空間デザインは一体に統一しないキッチンだけが浮いた空間になってしまいますので注意が必要です。

 


【図1】

キッチンタイプ:
アイランドキッチン、ペニンシュラキッチン、コ型キッチン、L型キッチン、Ⅱ型キッチン、I型キッチン

 

 

独立配置

キッチン専用の部屋(スペース)を設けてダイニングキッチン一体ではなく、キッチンスペースとダイニングスペースを完全に分けるタイプ。キッチンをダイニング・リビングから見せたくない場合、臭いをダイニング・リビングに広げたくない、料理する場(キッチン)は裏方とする場合に適しています。独立した閉じた空間なのでリビングとの連続性・関係性はなく床・壁の仕上げ材などキッチンスペース単体で選定でき、より機能的(油汚れに強い等)な素材を選定しやすいというメリットがあります。

 


【図2】

 

キッチンタイプ:
コ型キッチン、L型キッチン、Ⅱ型キッチン、I型キッチン

 

 

壁付配置(一体配置)

ダイニングの一角の壁にキッチンを壁向けに設置するタイプ。キッチンで作業する際はダイニングに背を向ける形になりダイニングにいる家族とのコミュニケーションは取りにくいですが、キッチン作業スペースとダイニングスペースが共用になるので、全体空間として小スペースで配置できるので、面積的に広くないダイニング・キッチンスペースを広く利用したい場合に有効です。1Kマンションで玄関から入って部屋までに通路に面してキッチンがあるのもこの配置と同じで、廊下とキッチン作業スペースを共用させスペースの有効利用を図った配置です。

 

一般にメーカー既製のキッチンの多くは、アイランドキッチン等はデザインがよく仕上げグレードの高いキッチンはありますが、この配置に適したI型キッチンはそれほどデザイン性が高く仕上げグレードのいいものはあまりありません。それはこのキッチン配置にする家自体がそれほど広くなくまたローコスト住宅に多いので需要があまりない等の理由が考えられます。但し、上記に述べたようにスペースを有効利用できますからリビング・ダイニングと一体化させた配置は有効で、その場合リビング・ダイニングから見えるので逆にデザイン性の高いものやリビングの質感を合わせたデザインのキッチンを採用したいところです。

 


【図3】

キッチンタイプ:
L型キッチン、I型キッチン

 

 

2:キッチンの種類について

キッチンの配置は3パターンある事をお話しました。次にキッチン自体の種類はどんなタイプがあるのか見ていきましょう。ここではシンク、コンロが設置してあるキャビネットを「キッチン」として定義し、食器棚や作業台は一旦省いて説明します。

 

I型キッチン

シンク、コンロが一列に並ぶタイプのキッチン。多くは冷蔵庫も一列に並ぶレイアウトになる事が多いです。

 


壁に向かって設置する場合

【独立配置、壁付配置】【図4】

建築で腰壁を作りそこに設置した対面式キッチン

【対面配置】【図5】

上記2パターンあります。(注:腰壁を設置せずにカウンターの奥行を900ぐらいにして対面式にする場合はアイランドキッチン、ペニンシュラキッチンと定義し後で記しますので、ここではD=650の壁付けI型キッチンについて述べます)

配置:対面配置、独立配置、壁付配置

 

 

メリット

・シンク、コンロ、冷蔵庫が横一列に並ぶので横移動のみで料理等ができる

・横移動のみなので車椅子でも作業しやすい 【車椅子用キッチンの事例】

・一般的に他のタイプに比べてキッチンキャビネットを安く製作する事ができる

・コーナーキャビネットがないので収納スペースを有効的に使える

・キッチン自体が比較的小スペースで収まる

・壁付配置の場合、作業スペースとダイニングスペースが共用になるので、全体空間としても小スペースで配置できる

・壁付配置の場合、壁面いっぱいにキッチンを配置する事になるので、ダイニング側から見て、狭い空間ながらスッキリと納める事ができ、ダイニングから見えるというデメッリトを逆に見せるキッチンとして採用するのもあり【キッチン事例】

・建築腰壁を設置しそこに対面配置にした場合、アイランドキッチンと比較すると、腰壁でダイニングと区切られるので開放的なキッチンではないが、ダイニングからキッチンカウンターが見えない(食後の洗う前のお皿など隠せる)

 

デメリット

・横に長いので動線が長くなってしまう。比較的小さなキッチンならいいですが大きなキッチンの場合は動線が短くなるL型やⅡ型のほうが動線を短くできる

・壁付配置にした場合はダイニングからキッチンが丸見えになってしまう

・腰壁を設けた対面配置にすればダイニングからは直接見えないが、全体空間として小スペースで設置できるというI型のメリットはなくなってしまう

・それぞれ好みになるが、壁付配置の場合、キッチンで作業する際ダイニングに背を向けなければならない

 

 

L型キッチン

一列ではなく、L型のキャビネットでシンク、コンロが90度の向きに設置させるキッチンです。

 

壁に向かって設置する場合
【独立配置、壁付配置】【図6】

 

 

建築で腰壁を作りそこに設置した対面式キッチン

【対面配置】【図7】

 

 

上記の2パターンあります。

配置:対面配置、独立配置、壁付配置

 

 

メリット

・シンク、コンロの距離が短くなる。横移動ではなく体の向きを変える程度、つまり90度の回転動作でシンク、コンロを使えるので作業はし易い

・壁付配置の場合、間取り寸法によりますが、ダイニングテーブルの配置まで考えるとI型の一体配置よりL型の一体配置のほうがスペース効率は良い

 

【図8】

・対面配置にもできるので、動線は少なくかつ開放的なダイニングキッチンが可能。また、コンロを対面側にすると上部にフードがきて開放的というメリットが薄れてしまうので、基本的にシンクを対面側にもっていく

 

デメリット

・同ボリュームとして、I型より高価。主にカウンターをL型にすると継ぐ作業が発生するのが要因

・コーナー部分のキャビネット収納効率が悪い。内側からのアクセスだとコーナー部分への収納扉を設置できないので、引き出し収納は設置できなく、開き戸収納でも扉を開けて奥まった箇所に収納する事になる。また、写真のような回転式収納金物を設置すると多少効率は上がるが、コストも上がる

 


逆に、対面配置に限った場合ですがダイニング側に収納扉をもってくると収納効率は下がらない


【図9】

 

・ダイニング側から見て、I型やⅡ型にくらべてスッキリとした見え方にはならない

 

 

コの字型キッチン

L型キッチンの延長ですが、Lの二辺だけでなく、3辺になっているキッチンです。

 

L型キッチン+高さがキッチンと同じカップボードの組み合わせを一体として考えればコ型キッチンと言えます

【図10】

 

比較的大きなキッチンで多くの収納も持ち食洗器やビルトインオーブンなどの機器も豊富なキッチンをより小スペースに配置する場合に採用されます。

【図11】

 

主に独立配置に適していますが、対面配置にもできます。


【図12】

 

配置:対面配置、独立配置、壁付配置

メリット・デメリットはL型キッチンに準じますので、そちらを参照ください。

 

 

Ⅱ型キッチン

I型キッチンが2列になり、主にコンロ、シンクが別キャビネットに配置されているキッチンです。主に対面配置になり対面側にシンクをもってきます。独立配置にもできます。

【図13】

【図14】

 


ちょうど独立配置したコ型キッチンの間のキャビネットを無くしたのと同じで、独立キッチンスペースの間口、奥行寸法の関係から必然的にどちらかに決まってきます。Ⅱ型のほうがコーナーキャビネットがない分収納効率は良いです。
シンク、コンロが別キャビネットにあるタイプをⅡ型キッチンと一般に定義していますが、I型壁面配置に作業台(配膳台)を組み合わせたものも機能的にはⅡ型キッチンと同様です。

 


こちらの事例はこのタイプですが、シンクも壁面側にもってきた理由は、リノベーション案件で対面キャビネット側に給排水を持って来られなかった故です。

配置:対面配置、独立配置

 

 

メリット

・同じキッチンスペースとするとL型に比べて、コーナーキャビネットがなく収納効率もよく広いカウンターを確保する事ができる

・スペースがなくコンパクトなキッチンにしたい場合にも有効

・動線も少なく移動せずに料理ができる

・ダイニング側から見て、L型キッチンよりスッキリ見える

 

デメリット

・シンクとコンロを使用するのに体を180度反転する必要がある

・料理や食材をコンロ→シンク・作業台への移動 またはその逆の移動つまり作業スペースをまたぐ移動になるので、床を汚しやすい

・対面配置であれ、ダイニング・リビングとの開放性で言うと、L型はコンロ仕様時でも横を向けば見れるが、Ⅱ型は振り向かないといけないので、キッチン使用時に開放性はあまりない

 

 

アイランドキッチン

アイランド=島の言葉の通り、シンク、コンロが設置されたキッチンキャビネトが壁から離れた島のように配置されているキッチンの事を言います。


【図15】

配置:対面配置

 

 

メリット

・キッチンの両サイドから出入りでき、またI型キッチンを対面配置にする場合に必要な腰壁もないので非常に開放的なキッチンと言える

・ダイニング側からカウンターを使えますので、簡易なダイニングテーブルとしたり、対面側から料理をする事もでき複数人でキッチンを利用しやすい

 

【図16】

 

・対面側を簡易ダイニングテーブルにするのでなく、長手方向にカウンターを伸ばしてキッチン・ダイニングテーブル一体型にもできる等自由に空間設計ができる

 


【図17


(但し、一般にキッチンカウンター高さはH=850、ダイニングテーブルの高さはH=700 で一般にダイニングチェアはH=700のテーブルの高さに合わせていますので、座面が高いスツールタイプの椅子を組み合わせないといけない。キッチン作業回りの床を150下がればダイニングテーブルの高さはH=700になりますので、床を下げる事ができるならそういう方法もある。)

・キッチンを中心とした空間構成にできる

 

 

デメリット

・同じ対面式でも対面配置したI型キッチンよりはコストが高い

・解放感を優先すれば吊り戸はつけないので収納量が不足する。ただし多少開放性を犠牲にしてアイランドキッチンに合う上部収納をデザインして統一感を出す事はできる

・キッチンの四周をあける事になるので他のタイプのキッチンに比べて広いスペースが必要

・壁に接していなく壁方向にダクト、給排水をもってくる事ができないので、天井上は換気ダクトスペース、床下には給排水管スペースが必要。なので、キッチンスペースの天井高を2300確保したいとすると床下で200、天井上で200必要として、2700程度の高さが必要になってくる

 


【図18】

床下は床に段差をつけられないので絶対に必要ですが、天井はダクトスペース箇所だけ天井をさげる方法もありますが、うまくデザインしないと、とってつけたようにダクト隠しの下がり天井ができて、せっかくのアイランドキッチンも台無しになるので注意が必要

 

・開放的であるのでキッチンが丸見えになる。I型対面配置であれば腰壁で多少は隠せるが、アイランドキッチンはすべて見えるので、調理器具や食材はすべて隠し使用時にだけ出すか、またあえて見せるためにデザインのあったものを選ばないといけない。食後のお皿もすぐに洗い収納する必要あり。I型対面配置のような腰壁はないが、対面カウンターをあげて(2段のカウンターになる)多少、目隠しをする事はできる

・コンロも対面配置になるので油はねなどの心配がある。解放感をそこなわない強化ガラスでできた油はねガードを設置する事もある

 

・キッチンの存在主張が大きい。部屋の真ん中にキッチンキャビネットを置くのでキッチンの主張が大きい。なので、キッチンのデザイン、素材、柄など空間全体(リビング、ダイニング)との兼ね合いでトータルに考えてデザインしないと、キッチンだけが浮いてしまう可能性がある。キッチン単体で考えるのでなく、空間全体を考えてキッチンをデザインすれば問題はない

・キッチンの主張が強いので、空間全体としては狭く感じ、キッチンを中心として空間つくりが必要

 

 

ペニンシュラキッチン

ペニンシュラ=半島の意味の通り、アイランドキッチンの一方を壁に接したタイプ。

【図23】

アイランドキッチンのメリットが少なくなる分、デメリットも少なくなったキッチン。アイランドキッチンと比較してメリットデメリットを述べます。

配置:対面配置

 

 

メリット

・アイランドキッチンほどスペースがいらない

・一方が壁に設置しているので、その壁に換気ダクト、給排水をもっていけるので天井裏スペース、床下スペースが必要ない。但し、通常コンロ側を壁にもってきてダクトを壁側ににきやすいように配置するので、給排水を壁側にもっていくためにはキッチンキャビネット内でそのスペースをとる必要があります。

【図20】

 

・アイランドキッチンほど主張が強くないので空間を狭く感じにくい

・コンロ側に一部袖壁を作る事によりコンロ前をオープンでなく壁にする事により油はねなどを無くし、またコストが安い壁付けレンジフードを設置できる

【図21】

デメリット

・アイランドキッチンに比べて解放感は少なくなる

・アイランドキッチンに比べてキッチン中心の空間構成はしにくい

 

 

 

3:ダイニングキッチンのレイアウトについて

キッチンの配置パターンとキッチンの種類について説明してきました。ここでは、ダイニングスペースを含めた「ダイニングキッチン」スペースに対してそれらがどのようにレイアウトされるのかお話します。

 

 

6畳(間口3510)ダイニングキッチンレイアウト

畳6畳のスペースは一般的な木造住宅の910モデュールですと、通り芯で3640x2720ミリ 壁厚を130㎜として、3510x2600㎜のスペースがあります。

 

リビングから見て間口が3510㎜の場合

6畳のスペースにキッチンとダイニングテーブルを設置する場合、比較的狭いスペースですので、キッチン作業スペースとダイニングテーブル回りのスペースを共用できない対面配置は採用が難しく壁付配置にする事が一般的です。

 

図面1のように、奥の壁面に冷蔵庫スペースを800㎜とったとしてI型キッチンはW=2700㎜まで設置でき、ダイニングテーブルも両サイド通路をとったとしてもL=2100㎜のテーブルを配置できるので6人掛けまで可能になります。

 

【図面1】

 

但し、収納スペースがW=2700㎜のキッチンカウンター下、及び冷蔵庫上部も吊り戸を設けてもW=3510㎜の吊り戸だけですので収納量が少なめなのと、炊飯器や電子レンジなどの調理機器の置き場に困ります。そこで、ダイニングテーブルのサイズはそのままに壁側に寄せ反対側の壁にW=1200㎜xD=450㎜のカップボードを配置したのが 図面2になります。これですと、収納量も増えカップボードにスライドテーブルや蒸気排出ユニットなども設置でき調理機器置き場も確保できます。

 

【図面2】

 

この延長線でI型キッチンとカップボードを一体化させて図面3のようにL型キッチンにする事もできます。

それぞれ一体化させて広いカウンター作業面を確保できと同時に一体化なのでデザイン的に統一感もでてスッキリできます。しかし、キッチンカウンターのD=650㎜(最小でも600㎜はほしい)必要ですので 同じサイズのダイニングテーブルを置くと通路が狭くなってしまうのと、キッチン使用時は問題ないですが、飲み物を取りに行くなどキッチン非使用時の冷蔵庫へのアプローチが遠くなってしまいます。

 

【図面3】

 

冷蔵庫へのアプローチを便利にするためにダイニングテーブルをキッチン側に配置したのが図面4のレイアウトで、この場合L型キッチンに家具のダイニングテーブルをひっつけて配置するとその部分のキッチン下部収納が使えなくなりますので、このレイアウトの場合キッチンとダイニングテーブルを一体化してコ型キッチンをデザイン・製作しコーナー部分に収納を無駄なく使用できるようにするのがベストです。高さについては、キッチン部分H=850、ダイニングテーブル高さはH=700程度と段差をつけ、一般的なダイニングチェアに合うようにするのが望ましいです。

 

【図面4】

 

畳6畳のダイニングキッチンスペースでは対面型キッチンの配置は厳しいのですが、キッチン作業スペースとダインニングカウンターを共用させれば図面5のような対面配置のⅡ型キッチンは設置可能です。

対面側にはシンクを、上部にレンジフードが必要なコンロは壁側に配置します。

 

【図面5】

 

この場合、シンク回りのカウンター高さはH=850㎜で共用化されたダイニングカウンターの高さもH=850㎜になってしまうので、一般的なダイニングチェアでは高さが合わず、座面の高いスツールにする必要があります。

 

【図面6】

 

スツールですと朝ごはんなど軽い食事の場合はいいですが、夕食など落ち着いて食事する場合には不向きなので、一般的なダイニングチェアでテーブル高さが合うようにする方法として、集合住宅等では難しいのですが、戸建て住宅であればキッチン作業スペース部分(図面7のオレンジ色部分)のみ床レベルを150㎜下げるという方法があります。

 

【図面7】

 

そうすると、キッチン使用時の立位置からはカウンター高さH=850㎜。ダイニグテーブル使用時は高さH=700㎜になって、一般的なダイニングチェアと組み合わせる事ができます。

 

【図面7A】

 

 

6畳(間口2600)ダイニングキッチンレイアウト

次に畳6畳のスペースでリビング側から見て間口が2600㎜奥に細長いダイニングキッチンスペースの場合です。

 

奥の壁面間口一杯にW=2600のI型キッチンを配置すると、冷蔵庫カップボードの置き場は必然的に図面8のようになり全体的にまとまりのないダイニングキッチン空間になってしまいます。

 

【図面8】

 

壁付けL型キッチンにしてもダイニングテーブル設置か所はキッチンやカップボードの奥行が650㎜もとれないので、奥行が450㎜、650㎜と違うキッチンやカップボードの配置でこれもまとまりのないダイニングキッチン空間になってしまいます。

 

【図面9】

 

そこで、キッチンの奥行をD=600㎜にし(一部組み込めない機器(食洗器)などあります)、ダイニングカウンターの奥行もD=700㎜程度にした配置が図面10です。

ダイニングテーブルに誰か座っている状態ではキッチン作業ができませんが、そこを割り切ればキッチン収納量も確保でき6人掛けのダイニングテーブルも配置でき、すっきりとした広々と感じるダイニングキッチン空間を作る事ができます。

 

【図面10】

 

別の考え方として、6畳(間口3510)の項目でも例をあげましたが、キッチン作業スペースとダイニンフテーブルを共用させる事でⅡ型キッチンを配置し、収納量確保のためにD=300㎜のカップボードを設置したレイアウトが図面11です。

キッチンはカップボードのラインが統一されてスッキリとしボリュームのあるキッチン・カップボードを奥に横壁面の収納は奥行をD=300㎜に抑える事により先ほどの図面10のレイアウトよち横方向の広がりを感じさせるダイニングキッチン空間になります。ダイニングテーブル高さとシンク回りのカウンター高さについては、図面7のレイアウトと同じようにキッチン作業スペース部分を150㎜さげる事で解決されます。

 

【図面11】

 

ここまで壁付配置について見ていきました。次に、6畳(間口2600)の場合間口は狭いのですが奥行はあるので対面配置が有効になる場合が多いので、次は対面配置について見ていきます。

 

まず、図面12の対面配置のL型キッチンが考えられます。

 

【図面12】

 

L型キッチンと冷蔵庫だけですと比較的スッキリとした見た目になるのですが、収納量を増やすためにカップボード(D=450㎜)を配置すると、冷蔵庫とラインが合わずちぐはぐな見た目になってしまいスッキリとせず体感狭く感じてしまうダイニングキッチン空間になってしまいます。

 

L型キッチンに比べてⅡ型キッチンがキッチン作業時に振り向く必要がありL型キッチンに比べて使いにくいというデメリットはありますが、ダイニングキッチン空間のデザイン的にはスッキリと納まり空間も広く感じます。ダイニンウテーブルを対面キッチンカウンターと平行配置(図面13)でも直交配置(図面14)どちらでも可能です。

 

【図面13】

 

【図面14】

 

畳6畳という狭い空間に、キッチンとダイニングテーブルを配置するわけですから特にそれらが素材、色合い、質感、ディテールなどデザイン的には統一させるのがベストです。既成のキッチンとダイニングテーブルを別々の選定する事が多いと思われますが、単体だけ見て選ぶのでなく双方デザイン的には合うかどうか見て選定するべきです。

ですので、狭い空間に小さめのキッチン、テーブルだからこそ、一体化してデザイン・製作する事をお勧めします。

 

【図面15】

 

そうすれば、キッチン、ダイニングテーブルの形態を一体化して寸法を決めれますし、素材、色合い、質感、ディテールなどデザイン的に統一させる事ができます。

 

 

8畳ダイニングキッチンレイアウト

次に畳8畳のスペースつまり間口も奥行も3510㎜ほどある正方形のダイニンフキッチンスペースについて見ていきます。

 

図面16は、W=2700㎜の壁付I型キッチン、W=2100㎜D=450㎜のカップボード、L=2100㎜のダイニングテーブルを配置したレイアウトです。スペースに余裕がありすぎ、逆に食材や食器類を収納するカップボートを作業場であるキッチンまでの距離が遠く作業性が悪いので畳8畳のダイニングキッチンスペースにおいては、壁付けI型キッチンはあまりお勧めできません。

 

【図面16】

 

お勧めするレイアウトはペニンシュラ型キッチンで背後にカップボードを配置するレイアウトです。ダイニングテーブルをキッチンカウンターに対して直交配置したのが図面17、平行配置にしたのが図面18です。

 

【図面17】

 

【図面18】

 

コンロ、シンク、冷蔵庫、収納までの距離が小さく移動距離が少なく効率的な配置であります。コンロ側壁面が外壁面であれば換気ダクトもすぐに外に出せるのでダクトスペースを作る必要もなく合理的なレイアウトになります。

 

図面19のように片側通路のペニンシュラ型でなく、両側通路を確保したアイランド型にする場合、キッチンカウンターW=2100㎜程度になってしまい、ここにシンク、コンロを置くには狭いのでアイランド型と壁付型の組み合わせがいいかと思われます。

 

【図面19】

 

狭い空間ほどでもないですが、畳8畳の広さであれ、アイランド型キッチン部とダイニングテーブル部は目立つ存在になるので、カウンター素材を統一する等デザイン性は統一させたほうがいいの、一体化させてデザイン・製作するとよりよくなります。

 

畳8畳スペースあれば作業性も収納性も十分確保して対面型キッチンを設置できる事がお分かりいただけたかと思います。

 

次に別の要望として、キッチン作業時にも家族とのコミュニケーションを取るために対面型がいいが、来客時などはある意味生活感のでるキッチンは隠したいという方もおられるかと思います。その要望でのレイアウトのご提案としましては、ペニンシュラ型キッチンをベースとしコンロ前に間口の1/3長さの建築壁面を設置しそこにフルハイトの引き戸を納めておき、キッチンを隠したい場合は閉じてしまうというレイアウトです。

 

【図面20】

 

【図面21】

 

フルハイトの扉(上部に建築垂れ壁無しでレールを天井に埋め込み)を利用し。コンロ前の壁Wと扉Wを同じにすれば一見引き戸扉がない様に見せる事ができます。コスト的な面面で言えば、レンジフードが見えなくなるので意匠性の高いレンジフードでなくてもよくなるのでキッチンの価格は多少抑えられます。

 

 

 

10畳ダイニングキッチンレイアウト

畳10畳ですと、おおよそスペースが4420㎜x3510㎜あります。比較的大きなスペースなので十分な作業スペースや収納量を確保できますが逆にこのスペースを最大利用したレイアウトにする事が重要かと思います。

 

例えば、間口が4420㎜ですと先ほどの畳8畳レイアウトより間口が910㎜大きくなりますので図面22のように両側に通路を確保したアイランド型であれ、そこにコンロとシンク納められ、背後にカップボードを設置するレイアウトが可能です。

 

【図面22】

 

但し、天井付けの独立型のレンジフードを設置する事になるのですが天井内にダクトスペース(約H=200㎜ほど必要)が必要なので注意が必要です。一般的にキッチン設置部天井内にそのスペース(H=200㎜)があるなら、リビング側の天井を200㎜あげるので、逆に言えばダクトルート部分を200㎜下げるという事です。そこで注意しないといけないのは、単純にダクトルート部分のか所のみ梁型のように下がり天井にするとデザイン性が損なわれるので、全体的な下がり天井にしたりそこの素材を変え意匠性をあげたり、それを利用して間接照明を設置する等デザイン的工夫が必要です。

 

【図面23】

 

間口が3510㎜ですと先ほどの畳8畳レイアウトより奥行が910㎜大きくなりますので、奥に向かって長いキッチン配置にする事が可能です。図面24のレイアウトはⅡ型キッチンですが、壁面側にカップボード含めたキッチンカウンターにコンロを配置し、シンク側キッチンカウンターとダイニングテーブルを一体化させたキッチンレイアウトになります。比較的大きいスペースを最大限に利用ししかもスッキリとしたデザインになっています。

 

【図面24】

 

 

 

4:ダイニングキッチン空間をスッキリと広く見せるコツ

 

外形ラインは揃え、変な隙間は作らない

ダイニングキッチン空間をスッキリと広く見せる為には空間を形成するラインを整える事が重要です。何も配置していない部屋はその壁面、床面、天井面で空間が構成されます。そこにキッチンやカップボードなどの家具を配置するとその外形ラインで空間が構成されてしまいます。

 

例えば、図面25のようなレイアウトでの場合、キッチンカウンターD=650とカップボードD=450を並べてしまいますと、カップボード部分のスペースのW寸法は2150㎜ありますが、体感的にも実際に使用上においても、1950㎜のW寸法と変わりなく150㎜の空間は死んでしまいます。

 

【図面25】

 

【図面26】

 

それであるならば外形ラインを統一した方が収納量も増え見た目もスッキリとするという事です。

 

【図面27】

 

高さ面においても同じ事です。図面25の内観図を見てお分かりのように高さのある物が手前に来るとそこに視線が行き圧迫感を感じ空間が狭く感じてしまいます。

 

【図面28】

 

ダイニングキッチンのレイアウトの配置上どうしても高さのある家具が手前に配置する場合もあるのですはその場合も奥も同じ高さまで家具を配置した方が圧迫感を感じず収納量も増えます。冷蔵庫上のスペースも同じ高さに揃える事により冷蔵庫自体も空間をとけこみスッキリとした見た目になります。

 

【図面29】

 

 

相対的に色合いの濃い物は高さのある物は奥に配置

壁面の色と家具の色の濃さが違うならば、それら空間を構成する外形ラインは対等ではなくなります。人の視線は相対的に色の濃い部分や形態が他と違う部分に向かいます。ですので、色の濃い家具や壁面を奥にもってくれば空間を広く感じます。

 

同様に高さの違う家具を配置せざるを得ない場合は高さのある家具は奥に配置すれば空間を広く感じます。

 

 

 

素材・色相要素は統一する

上記2項目と同じ事なのですが、素材感が違う色合いが違う物があればそこに視点が集まってしまいます。あえて強調させたいか所であればそれえでいいのですが、選定した家具の素材が違ってしまっていて意図しない空間構成になってしまう事があるので注意です。特にキッチンや収納家具は新築時に選定し、ダイニングテーブル、チェアは建物が出来上がってから選定する場合等です。理想はキッチン、収納家具、ダイニングテーブル。チェアすべてを同時に選定するまたは同じデザイン・製作するのが望ましいです。

 

 

 

調理機器の置き場も考えて

冷蔵庫、電子レンジ、湯沸かしポット、炊飯器、トースター、ゴミ箱などキッチン周りで使用するある程度大きい機器の配置もダイニングキッチン空間を構成する上で重要な要因です。キッチンの使用スタイルによるのですが普段は収納しておいて使用時にカウンターの上に置くとかならそれほど関係ないですが、使いやすい場所に常時設置する場合はそれを含めてダイニングキッチン空間をデザインするべきです。

 

 

 

5:まとめ

 

キッチンの配置パターン、キッチンのタイプ、ダイニングキッチン空間のレイアウト事例及び空間をスッキリと広く見せるコツについてお話してきました。これでダイニングキッチン空間を作る上での基本的な知識を習得できたかと思います。

 

これらの事を知った上で、理想のダイニングキッチン空間を得るために次にすべきことは、「理想のキッチンでのライフスタイルを描く」「理想の空間イメージ(画像)を持つ」「自分のライフスタイルに照らし合わせ必要な物(収納する物、量など)を想定する」の3つと建築図面を持って、様々はショールームやWEBを見て自分にあったものを探す。

 

 

建築を依頼している工務店や設計事務所に相談する。またフルオーダーを検討されるのであればキッチン家具デザイン・製作会社に相談に訪れるという事です。この記事を読んで頂き少しでも理想のダイニングキッチン空間を手に入れるヒントになれば幸いです。

 

キッチンに関する下記記事も合わせてご覧ください。

 

 

 


 

WAILEAはお客様の理想のキッチン空間を実現するために、オーダーキッチンの制作、インテリアデザインを賜っております。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。