
キッチン家電の収納場所と使用場所について〜キッチンプランニング
日々料理する際に「キッチン家電が使いにくい!」「キッチン家電の収納・整理に困る!」等、キッチン家電の置き場に関して不満を感じられている方は結構多いのではないでしょうか?
家を新築し家を設計する際、全体の間取りを設計し、キッチンダイニングスペースに収まるキッチンを選定し、そしてキッチンキッチンボード(収納家具)を選定する流れで、これは「大きい全体の概略から詳細を詰めてゆく」という正当な流れではあります。
しかし、一般的なシステムキッチンはカウンターサイズ、収納量、機器類のバリエーションはありますが、残念ながら「キッチン家電収納」「キッチン家電使用」についてあまり考慮されていない(理由はどんな家電を使用するのかは人そえぞれであり規格システムキッチンにおいて一般化しいくいからと考えられます)というのが現状です。
また、キッチンボード(収納家具)には「キッチン家電収納」「キッチン家電使用」について考慮されている商品が多く販売されているものの、最後に選定される住設機器であり、家全体のコストを下げるためにオプション設定で入居後に設置する事も多いです。
これらの理由から「キッチン家電収納」「キッチン家電使用」について上手くいかない事が多いのではないかと考えられます。
ある程度家の間取りの設計時点から、「キッチン家電収納」「キッチン家電使用」について考慮し間取りを決め、どんなキッチンやキッチンボード(収納家具)を設置するか決めておけば改善されます。
今回は、「キッチン家電収納」「キッチン家電使用」についてどんな事に注意すればいいのかについてお話したいと思います。
▽キッチン関する記事も併せてご覧ください。
【目次】
・フルハイトのスライドドアを使用したキッチンボード
・ペニンシュラ型キッチンに袖壁を設置して家電収納スペースを作る
・キッチンカウンターの前に隠せる家電収納スペースを作る
1:どんなキッチン家電を使うか整理する
家電メーカーからキッチン家電は沢山の種類が発売されております。
炊飯器、トースター、電子レンジ、電子オーブン、ホットプレート、電気ポット・ケトル、コーヒーメーカー、ホームベーカリー等々
まずは、今までどんなキッチン家電を使っていたか、今後どんなキッチン家電を使う予定なのか?洗い出して見ましょう。
将来的な事で現時点ではわからないでしょうし、新しい商品も発売されてきますので、「将来使うかも?」というキッチン家電は使うという前提で考えたほうが変化に対応できるキッチン空間にする事ができます。
次にそれらのキッチン家電の使用頻度も想定しておきましょう。例えば、炊飯器や電気ポットは毎日使うけど、ホームベーカリーは週一かな 等です。
「使い易い置き場所」と「スッキリと生活感を出さない置き場所」は相反する部分があり、ある意味「割り切り」が必要になってくることがあるので、使用頻度を想定して置く事とその割り切りの判断時に大事です。
2:どんなキッチン家電の収納場所があるのか?
次にキッチン家電の収納場所、使用場所があるのか?について見ていきます。
事例として図面1のような対面式ペニンシュラ型キッチンとキッチンボードをⅡ型に並べた配置でご説明します。
・キッチンカウンターやキッチンボード(収納家具)カウンターの上
作業しやすい高さ850のカウンターの上ですので使い勝手は一番いいです。
キッチンボート(収納家具)のカウンター上であれば常設場所として、収納場所兼使用場所として利用できます。
炊飯器、トースター、電子レンジなど、大きさ問わず日々使う家電キッチンの収納場所兼使用場所に向いています。
キッチンカウンター上は、コンロやシンクのすぐ横で使用場所としての作業性はキッチンボードカウンター上より勝りますが、常設の収納場所にすると食材を切る等他の作業が出来なくなるので不可です、収納場所は他の場所にして使用時のみ置く場所となります。
ホットプレートなど、比較的小型で一時的に使うキッチン家電の使用場所に向いています。
・カウンター下のキャビネット部分
収納方法に二通りあり
・引き出しや開き戸収納の中
・扉のないオープン収納スペースです。
引き出しや開き戸収納の中は、当然の事ながら「使用場所」にはならず「収納場所」としてのみです。毎日ではなく、たまに一時的に使うキッチン家電の収納場所になります。
扉のないオープン収納スペースは、常設場所として、収納場所兼使用場所として利用できます。使用時に屈まないと使えないのがデメリットですが、リビング側から見え見えないのでキッチン空間をすっきりと見せるには最適です。
炊飯器等置き場に適しており、ごはんを焚いてる時間はそこに置いて置くが、お米を研ぐご飯をよそう時はカウンターの上に移動させて使うなどが好ましいです。
移動させやすい(炊飯器を持ち易いように)スライドテーブルにして前に引き出せる様にしておく、蒸気が溜まらないように蒸気排出ユニットを設置する等すれば尚便利ですい。
常設場所として大型のキッチン家電である電子レンジを置く場合もあります。家電ではないですがガスオーブンなどはガスコンロと連携する事になるのでガスコンロ下のスペースに設置する事になりますが同じ考え方です。
本来置くべきキッチンボードのカウンター上のスペースを開けておくことが出来る反面比較的大きなグリル鍋等を使うのですが、屈まないと使えないのがネックになります。
・カウンターより上の高さのキャビネット部分
カウンター上のスペースと同様、作業しやすい高さ850になりますので、使い勝手は一番いいです。
カウンター上との違いとしては、周りにキャビネットがありますので
・炊飯器などの使用にあるといい蒸気排出ユニットを設置できる。
・スライドドアや水平垂直扉を設置し、使用時のみオープンにし使わない時は扉を閉めてスッキリと生活感のキッチン空間に見せれる。
・電子レンジ等の四角型の大型キッチン電化を置く場所としてキャビネットをジャストサイズにしてスッキリと設置できる。ビルトインの電子レンジ・オーブンがその際たる例です。
等があげられます。
以上、キッチンとキッチンボード(収納家具)における収納場所のメリット・デメリット、それに適した家電についてお話してきました。キッチン家電の種類、数量、使用頻度は人それぞれ様々です。
「どんなキッチン家電をどんな頻度で使うのかピックアップ」し、「それに適したキッチン家電収納場所」に配置できるような、キッチン及びキッチンボード(キッチン収納)を洗濯すれば、使いやすい理想のキッチン空間を手に入れられるはずです。
3:機能性とデザイン性を両立させたキッチン家電収納プランニング実例
さて、前項でも申し上げたとおり、それぞれのキッチン家電の「使い易い置き場所」と「スッキリと生活感を出さない置き場所」は相反する部分があるとお伝えしましたが、両者を成立させるプランニンはないのでしょうか?
完全とはいかなくとも、「機能性」と「デザイン性」を両立させたプランニングについて考察してみたいと思います。
ここで定義する「機能性」とはキッチン家電を使いやすい位置に配置する事。「デザイン性とは「キッチン空間のデザインの輪郭を壊しかねないキッチン家電を極力見せなくする事」とします。
・フルハイトのスライドドアを使用したキッチンボード
下記図面は現在計画中のW=1800のキッチンボード(収納家具)なのですが大きなスライドドアにして、キッチン不使用時は締めて置き、キッチン使用時にはスライドさせ 電子レンジや炊飯器などの家電収納が使い易い高さに置かれているプランニングです。
この図面では解りにくいので、先ほどの「対面式ペニンシュラ型キッチンとキッチンボードをⅡ型に並べた配置」をベースに概略を書きますと
キッチン不使用時は・・・
キッチン使用時は・・・
という風になります。
・ペニンシュラ型キッチンに袖壁を設置して家電収納スペースを作る
木造住宅において、「対面式ペニンシュラ型キッチンとキッチンボードをⅡ型」を採用する場合、必要な耐震壁の関係でコンロ前に袖壁を立てるプランがよく見受けられます。
これは、必要な耐震壁を設置しただけでなく
・対面ペニンシュラ型キッチンではなく壁付けI型キッチンにライニングカウンター設置で対面式にしコストダウンした
・レンジフードを横壁面取り付けタイプでなく比較的安い壁面取り付けタイオにでき、さらにリビング側からは見えないのでデザイン性は劣るがコスト安の仕様に変更してコストダウンした
というメリットがあるプランニングなのですが
その発展形で袖壁を450㎜〜600㎜大きくし、そこに家電収納を置く収納家具を配置したプランです。奥のキッチンボードカウンター上の左側もリビング側からの死角になるので、見せたくない家電を使いやすく置く事ができます。
キッチン作業スペースからは、使いやすい位置にキッチン家電を配置でき、逆にリビング側からは見えないのでスッキリと生活感を出す事はないプランンングになります。
デメリットはコンロ横に450㎜〜600㎜の収納スペースを作るのでその分キッチンカウンターのWが小さくなるので、もともとの間口が小さい場合このプランニングはできません。
・キッチンカウンターの前に隠せる家電収納スペースを作る
電子レンジ等の大型の物を省けば、キッチン家電は高さ350以内、奥行も300以内のサイズがほとんどです。対面式のキッチンカウンター奥に(キッチンとダイニングの間に)キッチン家電スペースを設置するプランニングもあります。
収納高さが、高さ1200㎜になりますが、対面式キッチンのキッチン空間とリビング区間の連続性、家族とのコミュイケーションが阻害されるほどではありません。
リビング側からも見えず、キッチンカウンター奥という非常に機能的で使いやすい位置に家電スペースを置けますので、機能性とデザイン性を両立できるのではないでしょうか?注意点としては、キッチンカウンター奥になりますので、手が届きやすいようにキッチン自体の奥行を一般的には650㎜なのですが600㎜程度にする方が手が届きやすく使いやすいです。
ダイニングへの配膳がしにくくなるというデメリットがあるので部分的に高さ1200の位置に配膳台としてカウンターを設置するのがいいでしょう?
以上、機能性とデザイン性を両立させるキッチン家電置き場について考察してきました。メーカーシステムキッチンではこれらのような事をするのは難しいのですが、オーダー造作キッチンであれば可能なのでオーダーを検討してみてもいいかもしれません。
4:電源の位置。クッキングコンセントの数や位置
最後にキッチン家電に必要な電源コンセントについてお話しておきます。
もともとキッチン家電置き場を想定しているキッチンボード(収納家具)においては、電源コンセントが用意されているのであまり問題にならないのですが、使用時に置く場所 例えばキッチンカウンター上で使用する際に電源コンセントがなくて困る事が多々あります。
I型の壁付けキッチンであれば、正面の建築壁や腰壁部分に電源コンセントを用意すれば対応できますが、ペニンシュラ型キッチンの場合多くはコンロ側に壁で、家電を置くであろう作業スペースまで遠いですし火器の近くに電源や配線は危険です。
アイランドキッチンはそもそも壁がないので建築の電気工事で対応する事さえ出来ません。
では、どう対応するか?と言いますと、キッチン自体にいわゆるクッキングコンセントを設置する必要があります。まったくキッチンカウンター上でキッチン家電を使わないなら必要ないですが、使う可能性がある場合は、必ずキッチン自体にクッキングコンセントが設置されているキッチンを選ぶべきです。
標準でクッキングコンセントがある商品、オプション対応できるなどのキッチンです。いくらデザインや仕様がよく(見え)ても、さざまな便利で魅力的なキッチン家電が発売されている時代に使うであろうキッチン家電の為のコンセント設置が不可なキッチンは使用者の事もなにも考えていないキッチンと言わざるを得ません。
クッキングコンセントの位置は、キッチン家電を使用時おくであろう場所のカウンター直ぐ下のキャビネット側面になります。
5:まとめ
料理が便利で楽しく出来るキッチン家電が様々なメーカーから発売されている時代、キッチン家電の収納場所と使用場所を考える、つまり使用者の視点でキッチンをプランニングする事が大事だと思っております。これを気にお客様が理想のキッチンライフを手に入れられれば幸いです。
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